早期退職優遇制度とは?導入時の注意点も解説

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企業の経営状況が悪化してしまった場合などには、早期退職優遇制度を導入することがあります。

これによって効果的に人員削減を行いコストカットができる効果がありますが、早期退職優遇制度を導入する場合、いろいろな法的トラブルが起こる可能性があり、やみくもに導入することは危険です。

そこで今回は、早期退職優遇制度を導入する際の注意点を解説します。

1.早期退職優遇制度とは

早期退職優遇制度とは、企業が早期退職希望者を募り、早期退職する人に対して割増退職金を支払う制度のことです。

企業が、人員削減したい場合によく利用されます。

いったん労働者を雇用したら、雇用契約が行われて従業員には労働者としての権利が発生します。

そして、日本では解雇できる場合が極めて限定されているので、人員削減したいからと言って簡単に解雇することはできません。

しかし、景気や企業を取り巻く情勢の変化により、企業経営が苦しくなった場合などには多数の従業員を抱えていることが企業にとって重荷になる事があり、人員削減によってコストカットする必要もあります。

このとき、解雇によって削減することはできないので、従業員に自主的に退職してもらう必要がありますが、早期退職優遇制度を利用することにより、退職希望者が増えて効果的に早期退職者を募り、効率的に人員削減を実現することができます。

2.早期退職優遇制度を導入するメリット

早期退職優遇制度を導入すると、トラブルを避けながらスムーズに人員削減ができます。

早期退職者がいない場合には、企業は整理解雇を進めなければなりませんが、整理解雇が認められる要件はかなり限定されているので、認められない可能性がありますし、従業員との間の裁判トラブルも懸念されます。

そこで、早期退職優遇制度によって従業員に円満退職してもらうことが、企業にとっても大きなメリットとなります。

3.従業員への告知が必要か?

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早期退職優遇制度を利用する場合には、いくつか注意しなければならない問題点があります。

これらを知らずにやみくもに導入すると、従業員とトラブルが起こって対処に困る可能性があるからです。

以下で、順番に見てみましょう。

まず、早期退職優遇制度を導入する際、そのことを従業員に告知する必要があるのかという問題があります。

たとえば、企業が近日中に早期退職優遇制度を導入することを決定しているときに、それを知らずに通常とおりに退職願を出した従業員に通常通りの退職金を支払ったケースで、従業員が会社に対し、早期退職優遇制度についての告知をすべきだったとして訴訟を起こした例があります。

この事案では、裁判所は、企業には早期退職優遇制度の告知義務は無いと判断しています(東京地裁 平成11.11.12など)。

そこで、企業がこれから早期退職優遇制度を導入しようとしている場合であっても、事前に退職希望をする従業員に対してこれを告知する義務はない、ということになります。

4.退職勧奨の必要性や年齢によって支給額を変えられる?

早期退職優遇制度を導入する場合、その内容はすべての退職者に対して平等でなければならないのかが問題になります。

たとえば、従業員によって退職勧奨の必要の度合いは変わりますし、従業員の年齢によって割増退職金の額を変えることなどがありますが、このような区別した取扱が認められるのかということです。

裁判所は、個々の従業員の退職時期や所属している部署などによって割増退職金の支給額が変わっても憲法の平等原則や労働基準法には反しないと判断しています。

また、年齢によって異なる取扱をする制度も有効と判断しているので、早期退職優遇制度を導入する場合、基本的には従業員をすべて平等に取り扱う必要は強くは要求されていないと考えられます。

5.会社承認規定を導入できるのか?

早期退職優遇制度を導入する場合、会社承認規定を導入できるのかどうかが争われた事例があります。

会社承認規定とは、従業員が早期退職を希望してきた場合、会社が承認をした場合にのみ早期退職を認める制度です。

人員削減が必要であっても、どのような人にも辞めてほしいということではなく、会社にとっては残ってほしい人もいます。そこで、会社が承認した人にのみ早期退職優遇制度を適用するのです。

このようなことは、従業員によって不平等な取扱になるので認められないのかとも思われますが、最高裁はそのような考えは採っていません。

この場合、従業員は、通常の退職方法によって退職することは自由なのだから、退職する自由が奪われているわけではないからという理由です。

仮に会社が恣意的に承認規定を運用したとしても、そのことをもって直ちに違法になる事もないと考えられています。

そこで、会社承認規定は有効であり、早期退職の希望が出た場合に会社が承認した場合にのみ割増退職金を支給することは認められます。

まとめ

以上のように、早期退職優遇制度は、会社が効果的に人員削減する際にとても有効な手段ですので、今後の経営の参考にしましょう。

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