退職金を損金にできる限度額と算入時期について解説!

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多くの会社では、役員が退職する際に退職金を支給しています。

退職金を支給すると会社から財産が減ることになりますが、このとき支給分を損金算入することができます。

ただし、全額算入できるわけではなく、限度額がありますし、損金算入時期についても決まっているので、適切な考え方を知っておく必要があります。

そこで今回は、退職金を損金にする方法と限度額、算入時期について解説します。

1.退職金はいくらであってもかまわない

役員が退職する際には、退職金を支給する会社が多いですが、この場合、退職金の金額に限度額はあるのでしょうか?

この点、法律上も税制上も、退職金に限度額はありません。

いくらであっても、適切な手続きに従って決定されたのであれば、退職金を支給することができます。

たとえば、経営者が退職する際に、数億円以上の退職金を受け取ることも自由です。

しかし、会社の財務状況に見合わない退職金額を支給すると、会社経営にとって負担になるので、法律的な制限はなくても、役員への退職金支給をする際には、適切な金額を設定することが必要です。

2.退職金を支給する方法

役員に対して退職金を支給する際には、必ず株主総会決議を経るか、定款によって定める必要があります(会社法316条1項、309条1項)。

これは、役員が自分自身の退職金について決定すると、不当に高額に設定することによって会社に損害を与える可能性があるからです。

そして、多くの会社では、定款によって退職金支給を定めるのではなく、株主総会決議によって決定しています。

親族同士の小さな会社などでは、実際に株主総会を開かないケースもありますが、その場合であっても、必ず株主総会議事録を作っておく必要があります。

また、株主総会によって退職金支給を決定することが必要だとは言っても、具体的な退職金額まで株主総会で決める必要はなく、支給することだけを株主総会決議で決めたら、具体的な支給額や支給方法などについては取締役会において個別に決めることが可能です。

3.退職金を損金にできる限度額は「適正な額」

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会社が役員に退職金を支給する場合、一定額までであれば損金算入することができます。

損金に算入することができたら、その分税金が減るので会社運営にとっては助かります。

それでは、役員の退職金は、具体的にいくらまでであれば損金算入できるのでしょうか?

これについては、「適正な金額」であると考えられています。

適正な金額とは、同業種や同程度の規模の会社で一般的に支給されている退職金額と同等の額ということです。

この場合の計算方法として利用されるのが、功績倍率法です。

功績倍率法とは、退職する役員の最終月額報酬と在職年数、それに功績に応じた倍率をかけ算することによって、適正な退職金額を計算する方法です。

具体的には、以下のような計算式となります。

 

適正な退職金額=最終月額報酬×在職年数×功績倍率

 

功績倍率については、退職する役員の性質によって、だいたい以下のように定めることが多いです。

社長の場合3.0、専務・常務の場合2.5、平取締役、監査役の場合2.0程とされています。

そこで、役員が退職する際には、上記の限度額までは損金算入できると計算して良いでしょう。

4.分掌変更の場合

役員が、役員そのものを辞めるのではなく、分掌変更などをすることによって退職金を受け取ることがありますが、この場合、損金算入できるのかが問題となります。

分掌変更の場合、常に損金算入できるわけではなく、「役員の地位や職務内容が激変して、実質的には退職と同様の事情が認められる」場合にのみ損金算入ができます。

税務署の基本通達によると、具体的には以下のようなケースで職務内容が激変したとして損金算入が認められます。

  • 常勤役員であったものが非常勤役員となった
  • 取締役であったものが監査役となった
  • 分掌変更後、その役員の給与が50%以下などに激減した(ただし、分掌変更後も、実質的には会社経営上主要な地位にある場合を除く)

5.退職金の損金算入時期

役員への退職金を損金算入する場合、その時期も問題となります。

この点、税務署の通達によると、以下の2つの時期から選ぶことができます。

  • 役員退職金を支給する旨の株主総会決議があった日が属する事業年度
  • 会社が実際に役員退職金を支払い、経理上も損金処理を行った日が属する事業年度

ただし、取締役会で役員退職金の支給を内定したときに「未払い金」として損金処理したとしても、その事業年度での損金算入は認められません。あくまで「実際に支払った」事業年度が基準になるので、注意しましょう。

まとめ

以上のように、役員の退職金を損金算入する方法を知っておくと、会社経営に役立ちますので、これを機会に正確に覚えておきましょう。

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