退職金の計算方法

退職金の計算方法は様々なものがありますが、ここでは代表的な計算方法を紹介させて頂きます。

メリット デメリット
基本給連動型
  • 多くの企業が採用している計 算方法で、一般的に馴染みが深い
  • 長く在籍するほど高くなるので、従業員の離職を止める要素になる
  • 会社への貢献度よりも勤務年数が重視されるため、実力のある従業員から不満が出やすい。
  • 基本給と連動しているので、基本給次第で高騰しやすい
定額制
  • シンプルな計算なので、メンテナンスなどが楽
  • 長く在籍するほど高くなるので、従業員の離職を止める要素になる
  • 基本給に左右されないので、退職金が高騰する不安がない
  • 会社への貢献度よりも勤務年数が重視されるため、実力のある従業員から不満が出やすい。
    (ただし、功労金などの上乗せ支給で対応することもできる)
ポイント制
  • 勤務年数・会社への貢献度など、バランスよく評価して、退職金の金額を決めることができる
  • 従業員の不満が出ないよう、最初に公平なポイント設定をする必要がある
  • 計算が複雑になり、メンテナンスの手間がかかる
別テーブル方式
  • 勤務年数を基準にしつつも、会社の貢献度も査定に含めることができる
  • 退職時の等級を反映させるので、それまでの貢献度は反映されない

それぞれ解説をさせて頂きます。

基本給連動

特徴

最も一般的で、日本の多くの企業で採用されている計算方法です。
計算式は次のようになっています。

「退職時の基本給×勤務年数×係数」
  • 係数:功労加算や懲戒・自己都合退職・会社都合退職など、退職時の状況に合わせて、細かい査定を含めたい場合に調整する項目です。
    例えば、「自己都合退職の場合には、係数は0.7」「定年退職の場合には、係数は1.2 」のように、会社独自で係数を決めるようなイメージです。

例えば、

  • 退職時の基本給:40万円
  • 勤務年数:30年
  • 係数:1.2

だった場合、「40万円×30年×1.2=1440万円」となります。

基本的には、基本給に勤務年数をかけるため、長く会社に在籍していた社員ほど、金額が大きくなる計算方法です。
また、基本給次第で退職金が高騰することもあるため、基本給を上げる際には、退職金のことも踏まえて上げる必要があります。

基本給連動型が向いているケース

多くの会社で採用されているので、会社、従業員ともに抵抗感なく使えるシステムです。
あまり変わった計算方法を採用したくないという場合や、長く勤めてくれる従業員に厚く報いたいという場合にはお勧めです。

定額制

特徴

勤務年数によって、退職金が決まっているシステムです。

勤続5年-○○○万円
勤続10年-○○○万円
勤続15年-○○○万円
勤続20年-○○○万円
のように、勤務年数に合わせて、定額で決めてしまいます。

基本給や他の要素は一切含めず、勤務年数だけで金額が決まっているので、手間も掛からず、わかりやすいのが特徴です。

会社への貢献度がまったく反映されない計算方法ですが、功労金などを出すことで対応することは可能です。

基本給連動型が向いているケース

複雑な計算方法を導入したくない場合や、とにかく長く在籍してくれる従業員に報いたい場合にお勧めです。

ポイント制

特徴

ポイント制は勤務年数だけではなく、会社への貢献度など、バランスよく査定をするための計算方法です。

計算式は下記のようになります。

「評価ポイント×ポイント単価×係数」
  • 評価ポイント:勤務年数や役職に応じて設定します。以下で例を挙げて説明します。
  • ポイント単価:1ポイントあたりの金額を説明します。以下で例を挙げて説明します。
  • 係数:功労加算や懲戒・自己都合退職・会社都合退職など、退職時の状況に合わせて、細かい査定を含めたい場合に調整する項目です。
    例えば、「自己都合退職の場合には、係数は0.7」「定年退職の場合には、係数は1.2」のように、会社独自で係数を決めるようなイメージです。

評価ポイントは、会社独自で自由に決めることができるのですが、例えば、

  • 「勤続ポイント」-勤務年数に対して、評価されるポイント
  • 「役職ポイント」-役職に応じて、評価されるポイント

などが一般的です。

分かりやすいように、例を挙げて説明します。
例えば、ある会社は、「勤続ポイント」と「役職ポイント」を、以下のように決めたとします。

勤続ポイント(勤務年数に対して、評価されるポイント)
勤務年数0~3年
勤務年数3~5年
勤務年数5~10年
勤務年数10~20年 10
…以下省略… …以下省略…
役職ポイント(役職に応じて、評価されるポイント)
係長
課長
部長代理 10
部長 12
…以下省略… …以下省略…

上記のように評価ポイントを定めたとします。

この場合、例えば

  • 勤続ポイント:「勤務年数10~20年」だったので、10ポイント
  • 役職ポイント:「課長」だったので、8ポイント
  • ポイント単価:75万円
  • 係数:1.2

だった場合、「(10ポイント+8ポイント)×75万円×1.2=1620万円」となります。
このように、バランスのよい査定をすることができますが、ポイントとなる項目に根拠がないと、従業員からの不満が出ます。
またポイントの計算など、計算が複雑になることもあり、手間がかかる場合があります。

基本給連動型が向いているケース

勤務年数だけではなく、「どれだけ会社の業績に寄与したか?」といった貢献度なども退職金に反映させたい場合にお勧めです。

別テーブル制

特徴

計算式は基本給連動型と似ていますが、基本給の項目とは別に、算定用の基準額を使って計算します。

「算定基礎額×等級」
  • 算定基礎額:基本給とは別に設定します。以下で例を挙げて説明します。
  • 等級:役職などに応じて等級を設定します。以下で例を挙げて説明します。

分かりやすいように、例を挙げて説明します。
例えば、ある会社は、「算定基礎額」「等級」を、以下のように決めたとします。

勤続年数 算定基礎額 等級
自己都合退職 会社都合退職 一般社員 係長 部長代理 部長
10年 100万円 150万円 1.1 1.2 1.4 1.5
20年 300万円 500万円 1 1.1 1.2 1.4
30年 500万円 800万円 0.9 1 1.1 1.3
…以下省略…

上記のように「算定基礎額」と「等級」を定めたとします。

この場合、例えば

  • 勤続年数:20年
  • 算定基礎額:自己都合退職
  • 等級:係長

だった場合、「300万円(勤続年数20年の自己都合退職の欄を参照)×1.1(勤続年数20年の係長の欄を参照)=330万円」となります。

上記のように、「算定基礎額」は、基本給とは別に、役職などの貢献度を加味して設定できます。
そのため、基本給連動型よりも、成果を上げた社員に報いることができる計算方法です。

また、基本給に連動しないので、基本給の昇給で退職金が高騰するなどのリスクが低いのが特徴です。

別テーブル制が向いているケース

勤務年数と合わせて、会社への貢献度も加味して計算をしたい場合に向いている計算方法です。

以上のように、退職金の計算方法は様々なものがあります。
そのため、どの計算方法が自分の会社に合うかというのは、とても判断がむずかしくなります。
実際、会社の規模や状況、不足している金額などによって、最適な方法は異なってきます。

正しい計算方法を選ぶためには、現在の会社の状況を正確に把握し、今の時点でいくら退職金が不足しているのか、理解していなければなりません。
しかし、そのような現状把握や正確な計算には、専門知識が必要です。
経験のない方が自分でやってしまうと、逆に大きいトラブルが発生する可能性もあります。

ですので、もし「うちの会社には、どの計算方法が一番よいのかわからない」とお思いなら、ぜひ一度当事務所までご相談ください。

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