退職金の積立方法

退職金を積み立てる方法は様々なものがありますが、ここでは代表的な積立方法を紹介させて頂きます。

メリット デメリット
保険
  • 導入が簡単
  • 従業員が少ない場合(30名くらい)に向いている
  • 懲戒解雇した従業員の退職金を減額するなど、柔軟な給付が可能
  • 会社の資金繰りが悪化したときなど、運転資金として緊急的に代用することも可能
  • 掛金が半分しか経費にならない
  • 保険会社から従業員に直接支払われるのではなく、いったん会社に支払われるので、手間がかかる
  • 離職率が高い会社だと、保険に加入しても、すぐに解約するため損をしてしまう
中小企業退職金共済(中退共)
  • 規定を満たした中小企業が利用できる
  • 加入手続きが簡単
  • 掛金が全額経費になる
  • 加入後2年経過すれば、掛金以上の積立ができる
  • 利回りが低い
  • 支払った掛金は従業員のものなので、会社側で勝手に使うことができない
  • 懲戒解雇した場合でも、減額できない
確定拠出年金
  • 掛金は企業が拠出するが、運用は従業員に任せられる
  • 従業員任せなので、運用結果の責任がない
  • 掛金が全額経費になる
  • 他社の確定拠出年金を引き継ぐことができるので、新しい人材を採用しやすい
  • 従業員に、運用方法の教育が必要
  • 懲戒解雇した場合でも、減額できない
  • 専門の会社に運用を委託するため、コストがかかる
  • 確定拠出年金は、他社でも引き継げるため、従業員が辞めやすくなる
確定給付年金
  • 老後の生活水準を保証できるので、従業員をつなぎとめられる
  • 懲戒解雇した従業員の退職金を減額できる
  • 掛金が全額経費になる
  • 会社で運用するため、手間がかかる
  • 運用結果に責任がある
  • 積立不足になった場合、会社の債務となる

それぞれ解説をさせて頂きます。

保険

いわゆる養老保険による積立です。

特徴

多くの企業で採用されている積立方法です。
導入方法が簡単で、法人向けの保険プランも多いので、小さな会社でも活用しているケースが、多く見受けられます。

掛金は半分しか経費になりませんが、

  • 導入が簡単
  • 退職金の減額など、柔軟な給付が可能
  • 他の用途にお金を使うこともできる

など、企業にとってもいろいろメリットがあるため、人気が高い方法です。

保険が向いているケース

他の積立方法と比べても導入が簡単で、コストもかからないため、従業員が30名くらいまでの小さな会社に向いています。

また、掛金を支払った後も、そのお金は会社のものなので、柔軟に退職金の給付をしたい場合や資金繰りに不安が残る場合などは、お勧めの積立方法です。

中小企業退職金共済(中退共)

昭和34年に創設された制度です。

特徴

確定給付年金、確定拠出年金と比べ、導入が簡単で、規定を満たした中小企業であれば、すぐに加入することができます。

加入できる条件は「資本金・出資金」もしくは「常用従業員数」が下記を満たした場合です。

資本金・出資金 常用従業員数
小売業 5000万円以下 50人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
一般業種 3億円以下 300人以下

利回りが低く、一度掛金を支払うと保険のように、別の用途に使うことはできませんが、

  • 簡単に導入ができる
  • 掛金が全額経費として扱える(保険は半分だけ)

などのメリットも多い運用方法です。

中小企業退職金共済が向いているケース

確定拠出年金や確定給付年金などに比べ、導入が簡単でコストもかからないので、上述の条件に当てはまる中小企業に向いていると言えます。

保険も導入が簡単ですが、掛金が全額経費にならないので、コスト重視なら中小企業退職金共済の方がお勧めです。

確定拠出年金

平成14年度に創設された制度です。

特徴

大きな特徴は、「掛金は会社が支払うものの、運用方法については従業員に任せられている」ということです。
「退職金として、いくら支払う」ということは決めずに、最終的な退職金の額は、従業員が運用した結果によります。
つまり、会社にとっては掛金を支払えばよく、運用は従業員の責任になりますので、会社側の負担が少ない制度であると言えます

その他にも

  • 掛金が全額経費になる
  • 他社の確定拠出年金を引き継げるので、有能な人材を登用しやすい
  • 運用の責任がない

など、メリットも大きい運用方法です。

なお、会社が支払った掛金は基本的に従業員のものなので、後から会社が減額することはできません。

確定拠出年金が向いているケース

確定拠出年金は、転職しても、他社で引き継いで運用ができるため、人材採用を積極的に行う会社には向いています(反面、離職率が高い会社だとすぐに辞められてしまうデメリットもあります)。
また、運用の責任がないので、将来、積立不足になる心配がありません。
運用の手間をかけたくない場合や、会社側の責任で運用を行うのは負担が大きくて困るという場合は、お勧めといえます。

確定給付年金

平成13年度に創設された制度です。

特徴

確定給付年金では、まず、従業員に支払う退職金の額を決めます。そして、その額を準備できるように、会社が掛金を負担し、運用も行います。そのため、会社側の負担が大きい制度であると言えます。
また、運用は会社が行いますが、一度支払われた掛金は外部の機関に保全されるため、会社が勝手に引き出すことはできません。

こういったデメリットもありますが、

  • 掛金が全額経費になる
  • 従業員にとっては安心感があるため、従業員の満足度を上げられる
  • 懲戒解雇者などに対し、退職金の減額が可能

などのメリットもあります。

確定給付年金が向いているケース

確定給付年金は、

  • 退職金として支払う額が決まっている
  • 運用も、会社が行う必要がある

という、会社側の負担や責任大きい積立方法です。

こういった点を気にして、導入を躊躇される会社もいらっしゃいます。
ただし、逆に言えば、従業員にとっては、魅力的な積立方法です。
従業員にとっては負担や手間はありませんし、退職金の額がおおよそ想定できるので老後の人生設計もしやすいです。
また、経営状況が悪化したからといって、会社が自由に取り崩したりすることができませんので、安心感があります。

ですので、有能な人材を登用したいという場合や従業員のモチベーションを上げたい場合などには、お勧めできる方法です。

※適格退職年金(適年)

昭和34年に導入された制度です。

会社が外部の生命保険会社など、金融機関に運用を任せるシステムで、多くの会社で使われていました。
当初は予定利率5.5%という高い数字が設定されていましたが、バブル崩壊などで予定利率は下がっていき、多くの会社で積立不足が発生する原因になりました。
そのため、平成14年に新規の受け付けを禁止し、平成24年に廃止されました。

以上のように、退職金を積み立てる方法は様々なものがあります。

一概に「どの積立方法がベスト」というものではなく、会社の状況や規模などによって、最適な方法は変わってきます。
実際には、現在の会社の状況を正確に把握し、「実際にいくら退職金が不足しているのか?」を算出して、自社にあった方法を選ばなければなりません。
しかし、そのような現状把握や正確な計算には、専門知識が必要です。
経験がない方にとっては、どの積立方法がいいのか、最適な判断するのはむずかしいと言えます。

ですので、もし「うちの会社は、どの方法が一番よいのかわからない」とお思いなら、ぜひ一度当事務所までご相談ください。
無料で御社の現状を把握し、最適な対策をお伝えいたします。

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